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不動産担保ローンと似たローン商品にアパートローンというものがあります。不動産担保ローンとアパートローンは何が違うのでしょうか?今回はアパートローンについて解説します。
不動産担保ローンとアパートローンの違い
アパートローンは不動産担保ローンの一種
不動産担保ローンの定義は、その名の通り「不動産を担保にして融資をするローン商品全般」を意味します。
そのため、自宅を担保にして融資受ける「住宅ローン」も「不動産担保ローンの一種」になります。
アパートローンとは
アパート・マンション等賃貸住宅の建築・購入・リフォーム資金・およびそのお借り換え資金のために融資をするローン商品
になるのです。
不動産投資をする方、不動産投資を事業として行う会社のためのローンと考えて良いでしょう。
不動産担保ローンは使途自由ですが
- マイホームの購入、借り換えに使う不動産担保ローンとして「住宅ローン」
- アパート・マンション等賃貸住宅の購入、借り換えに使う不動産担保ローンとして「アパートローン」
- 事業性資金に使う不動産担保ローンとして「事業主向けの不動産担保ローン」
- つなぎ資金に使う不動産担保ローンとして「つなぎ融資」
・・・
と別れるのです。
資金使途が「アパート・マンション等賃貸住宅の建築・購入・リフォーム資金・およびそのお借り換え資金」に限定されるというのが不動産担保ローンとの最大の違いです。
不動産担保ローンは使途自由ですので「アパート・マンション等賃貸住宅の建築・購入・リフォーム資金・およびそのお借り換え資金」に利用することもできまし、その資金で海外旅行に行っても問題ありません。
しかし、アパートローンで借りた資金で海外旅行に行ったら、契約違反になってしまい、即時返済を求められてしまうのです。
アパートローンの方が金利は低金利!?
不動産担保ローンの場合は「使途自由」ですがアパートローンの場合は「使途が賃貸物件の費用に限定」されています。
そのため、一概には言えませんが、貸し倒れリスクを予見しやすいので、その分金利は不動産担保ローンよりも低金利になる傾向が強いようです。
審査基準が異なる!
不動産担保ローンの場合
返済財源は
- 給与
- 不動産所得
- その他
などすべての収入が返済財源となります。
年収が高ければ高いほど、返済力が大きいと判断されます。
この時に重視されるのは「毎月の収入に対するローン返済額の割合=返済負担率」ですが、収入の30%が合否のラインと言えます。
アパートローンの場合
返済財源は
- 担保にする物件の不動産所得
です。
年収が高い、年収が低いというのはそれほど関係ありません。
「物件の賃料収入の○%でアパートローンの返済額が賄われるか?=返済負担率」が重要になるのです。
「毎月の賃料収入が満室時で100万円で合った場合、その50%の50万円の返済までであればアパートローンで融資が可能」というように金融機関は考えるのです。
同じ賃貸物件への融資だとしても、不動産担保ローンを選ぶのか?アパートローンを選ぶのか?で審査結果が変わってくる可能性もあるのです。どちらが有利とは一概には言えませんが、返済財源の違いに対しては注意しておく必要があります。
ただし、アパートローンの場合は、借入期間中も賃貸収入の状況を借りた金融機関へ報告する必要があります。賃料収入が予定よりも著しく低い場合などは早期の返済などを求められる可能性もあるのです。
アパートローンは銀行が積極的に販売中!?
アパートローンの新規貸出額の推移
出典:国土交通省 住宅局「平成28年度 民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書 」
毎年アパートローンの貸出残高は増加傾向にあります。
この理由は
- 日銀のマイナス金利政策によってアパートローンの金利も低下傾向にあること
- 相続税の増税に伴う相続税対策による不動産投資が増加傾向にあること
が挙げられます。
業態別の貸出残高
出典:国土交通省 住宅局「平成28年度 民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書 」
業態別の貸出残高を見ても
- 都市銀行
- 信託銀行
- 地方銀行
の割合がかなり高くなっています。
住宅ローンほどではないものの、担保があり、確実に回収が見込めるローンとして、アパートローンを銀行は積極的に販売しているのです。
一方で「不動産担保ローンは?」というと、アパートローンとは違って使途自由で、返済財源も収入全般ですから、貸し倒れリスクは高くなってしまい、銀行もラインナップとしては不動産担保ローンを用意しているものの
不動産担保ローンに積極的な銀行はかなり少なく、不動産担保ローン専門会社などの方が積極的に販売をしている傾向があります。
アパートローンの平均値
平成27年度
融資件数:54,311 件
融資額:3,665,333 百万円
1件あたりの融資額:67,487,856円
6700万円とかなり高額な融資額となっています。当然、この数字は数億円、数十億円の都内一等地の億ションなども含まれているので、これらの高額賃貸物件へのアパートローンによる融資が平均値を引き上げているものだと考えられます。
まとめ
アパートローンとは?
不動産担保ローンの一種であり、資金使途が賃貸物件の建設・購入・リフォーム・借り換えに限定された不動産担保ローンのこと
を言います。
不動産担保ローンとの違いはこの資金使途の違いですが、資金使途が違うことで
- アパートローンの方が金利が低金利
- アパートローンの方が融資額が大きい
- アパートローンの審査は返済財源である賃料収入の金額と確実性
- 銀行はアパートローンを積極的に販売
という違いがあります。